経営法友会 改正民法(債権関係)に関する月例会に行ってきました
先日、経営法友会ほかの団体が主催する民法改正に関するセミナーに行ってきました。
https://www.keieihoyukai.jp/294
■講師
裁判官で法務省へ出向中とのこと。今回の改正の中心メンバーで、
上級法務の方の間では有名らしいのですが、底辺法務の私は存じ上げませんでした。
■概要
会場は五反田TOCメッセ。TOCのそばにある大型セミナー会場です。
1000人近い人が参加していたような気がします。
これだけの人が全員法務担当者と考えると胸熱です。
なかなかこんなイベントはないのではないでしょうか。
入り口で、本日のレジュメと新旧対照条文集をもらいました。
条文集は市販で1,000円のもの↓
なので、けっこうお得感がありました(予算のない法務はつらい・・・)。
セミナーは、
前半の1時間半は改正に至る流れと村松氏が今回の改正のポイントと考える重要な箇所の解説、後半の1時間がその他の箇所の解説という構成でした。
■前半の内容
今回の改正は、A「社会・経済の変化への対応」(全体の約3~4割)とB「国民一般に分かりやすい民法」(全体の約6~7割)が狙いとのこと。
Bの「国民一般に分かりやすい民法」は、確立した法理(判例、学説)を条文に盛り込むことで実現を図っているそうです。
おそらく、Aの問題意識が表れたのが前半で解説された重要な箇所、Bが表れたのが後半で解説された箇所なのでしょう。
で、重要と考えられる箇所は、①消滅時効②法定利率③保証④債権譲渡⑤約款の5つ。
底辺法務の私がそれぞれの箇所のポイントを大胆にまとめると(正確な内容は今後民法学者の先生がバンバン発売される解説本をお読みください)、
①消滅時効は、原則5年に統一、起算点・時効の中断等をシンプルに整理。
②法定利率は、3%にし、3年ごとに自動修正。
③保証は、個人保証人の保護を拡充。
④債権譲渡は、譲渡禁止特約を見直して、債権譲渡による資金調達の促進を図る。
⑤約款は、約款制度を明文で規定し、大量の画一的取引に対応できるようにする。
ということだと思います。
個人的には、
②の消滅時効の3年ごと見直し制度が、何度条文を読んでも理解できなかったのが、
村松氏の解説で一発で理解できたこと、
⑤の約款について、当然に約款に該当するとされるものと該当しないとされるものは理解できるのですが、弊社のような弱小中小企業の利用規約はどっちにされるのだろう?という疑問がわきました。
■後半の内容
後半は駆け足で、その他の論点に触れられていました。
学者の先生の間では重大論点のようにとらえられている(と私が感じている)、
瑕疵担保責任制度の見直しについて、村松氏の関心が薄そうであったのが印象的でした。
■その他の感想
熟睡しているおっさんどもが周りにいっぱいいましたが、
私は全く眠くならず、大変勉強になるセミナーでした。
頭のいい人の話は分かりやすいな~。
腰を据えて、改正民法の勉強をしなくてはと動機づけれられる機会でもありました。
今回のレジュメはよくできていたのですが、どこにもアップされていないようです。
ぜひ、公開してもらいたいと思います。
【追記】資料アップされていました。法務省のHP、わかりにくい。
http://www.moj.go.jp/content/001243353.pdf
http://www.moj.go.jp/content/001243354.pdf